「澪、何作っているんだい?」 「おにぎりよ、お義父さま。だって今日はピクニックに行くんですもの。」 朝早くから起きだして、キッチンでなにやら作業している娘が 真田は気になって気になって仕方がなかった。 今日は真田にとって本当に、本当に、ほんと〜〜うに久しぶりにとれた休暇だった。 普段かまってやれない娘と今日はおもいきり遊べるぞ、と思っていた真田だったが はて?ピクニックの約束などしてないぞ?? 首をかしげるのだった。 はは〜〜ん そうか、最近ナニーに料理を習いだしたんだったっけ。 それで俺をピクニックに誘い出して 覚えたてのおにぎりを披露しようってことなんだな うん うん♪ 真田は一人勝手に納得して にこにこと娘のかわいい後姿を眺めるのだった。 「さぁ、できた!」 嬉しそうな娘の声に真田の心もはずんだ。 「で、中身はなんだい?」 「うふふ〜〜〜〜。 たらこに、しゃけ、昆布、梅干、おかかよ。」 「おいしそうだなぁ〜〜。」 「でしょ、でしょ? さぁ、み〜〜んなバスケットに詰めちゃったから これから行ってくるわねお義父さま。」 「えっ?朝メシまだだぞ?」 「あら、お義父さまの分はちゃ〜〜んとテーブルの上に用意してありますよ。 私はもう頂きました。 いつもお義父さまは忙しいんですもの、 私のことはかまわないで、今日一日ゆっくりお部屋で休んでね。 じゃあ行ってきます。」 「お、おい。ピクニックっていったいどこへ行くんだい?それに誰と?ナニーかい?」 「もう、お義父さまったら、忘れんぼさんね〜〜。ほんとうに疲れていらっしゃるのね。 おとといお話したでしょ。 場所はイメージルームよ。地球の秋の紅葉を見にゆくの。 もうコンピューターにプログラム済みよ。 一緒にいくのはナニーじゃないわ。 あ、もうこんな時間。待ち合わせ時間に間に合わなくなっちゃう〜〜。 いってきま〜〜す。」 ひらひらと手を振ると澪はスキップしながら部屋から出て行った。 置いてけぼりの真田はへなへなと床へ座り込んだ。 そういえば、どろどろに疲れて部屋に帰ってきたおととい 娘からピクニックの話を聞いて、自分はそれに許可を出した気がする。 気がするだけであって記憶が定かでない。 疲れきっていたために何も覚えていない、というのが正直なところであった。 誰なんだ、誰なんだ? 澪とピクニックに行くやつって? 澪はまだ嫁にはやれん!(←???) 真田は無言で朝食をかっこむと 急いで着替えをし、澪の後を追った。 イメージルームの前で、ピクニックへと一緒に行く相手をウキウキ待っている澪。 さて澪のお相手はだれなんでしょうか〜〜〜〜? 義父の悩みは尽きないのでございます〜〜〜ほほほほほ。 |
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(fin) |
めぼうき様、ありがとうございました。 from瑞喜 あとがき |