このお話は、H25年現在映画上映中の
『ヤマト2199』に登場するキャラクターが
活躍いたします。
ヤマト2199をご覧になっていない方には、
ネタバレとなる部分もあります。
ご了承いただけるかたのみ、ご覧ください。
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このお話は、Sドクターさま作『蒼き瞳に気まぐれて』の続編です。
(まえがき) |
このお話は、“蒼き瞳に気まぐれて”−メルダ・ディッツのSt. Valentine's day−の続編として書き下ろしたストーリーです。 前作でメルダを含め、山本 玲(レイ)、森 雪から告白された古代戦術長が地球でいうところのホワイトデーにどの様な結論を示したのか… そんな視点に立ってみた時、ふんわりと目の前に降りてきた物語を綴ってみました…♪ 恋する乙女たちに“星の壁”などない様にも思われますが、それぞれの女性はこの間きっと古代戦術長の返事を待っていたものと思います…! 時空のハードルさえも越えて伝わる“乙女心”に若き戦術長がいかに応えたのか… 2199ファンならもちろんのこと、そうでない方も多少は気になっておられたのではないでしょうか…!? そんな方々にこの物語がホワイトデーのプレゼントとなるとしたなら、書き手として素直に嬉しく思います…♪ S-ドクター |
時に西暦2200年××月××日、先のバレンタインデーに3人の女性からほぼ同時に自分への想いを告げられ、
同時にその想いの証である手作りのチョコレートを手渡された古代 ススムは、迫りくる3月14日に少なからず当惑していた… それもその筈… ミレーネル・リンケの魔女の囁きからかろうじて自身の意識を繋ぎとめ、 スクリーンに映った雪からのメッセージ“タ・ス・ケ・テ”の文字に本能的に反応して彼女を救った際に、 無意識のうちに叫んでいた言葉「ユキ〜!」… どうして、あの時の自分は森船務長のことを呼び捨てにしたんだろうか…? 古代 ススムはその時まだ、自分の森 雪という女性に対する愛情の深さに気付いていなかった… 一方、あの日以来、雪は自分に対してストレートに感情表現をしてくるようになっていた… どうして…? そんなことを考えながらも、残る2人の女性に対して自分の気持ちをはっきりと示さなければならない時がいずれ来る… と古代は考えていた。 自分が好きな女性… この先自分の人生のパートナーとなるだろう女性に対してその時の古代は、漠然としたイメージしか抱いていなかったのである。 そんな時、古代は榎本元訓練教官、現ヤマト掌帆長に呼ばれて彼と久しぶりに酒を交わす… という約束をしていたのである。 榎本の部屋を訪ねた古代に榎本は、早速中に入って座る様に促し古代もそれに従った。 | ||
榎本:「古代、どうだ」 「久しぶりの日本酒は?」 すでに、何杯か飲んでいたのであろう… 榎本の頬にはうっすらと赤みがさしていた。 古代が榎本に応えて、 古代:「美味いです… でも榎本さん、いや教官… 一体何本の日本酒を艦内に持ち込んだんですか?」 とあきれ顔に聞き返した。 それに答えて榎本が、 榎本:「さあな、積み込めるだけ積み込んだまでだ… いちいち数えちゃいない」 と豪快に笑って、さらに一杯の酒を古代に勧めた。 古代もそれにつられて盃を開けていく… しばらくして榎本が古代に、 榎本:「なあ、古代… ドメル艦隊との戦いの目途はついたのか?」 と、眼光鋭く古代に質問してきた。 古代は、榎本の瞳を注視して、 古代:「いや、目途がつくどころかどんな作戦で攻めてくるのか皆目見当がつかない故に困っているところです…」 と、正直に答えた。 榎本:「確かに、敵ドメル… だったかな」 「百戦錬磨の将軍って感じの奴だったからな…」 榎本:「こちらも無傷ってわけにはいかんだろうな」 そう言って、榎本は再び古代の瞳をじっと見つめた… すかさず古代が榎本に、 古代:「やはり教官もそう思いますか?」 と質問を返すと、榎本が、 榎本:「ところで、古代… お前、バレンタインデーに3人からそれぞれチョコレートを貰ったそうじゃないか!?」 不意をつかれた古代が、 古代:「えっ!?」 と応えるのを待って、榎本が、 榎本:「戦術長も大分“オンナ”の扱いに慣れてきたってところですかね?」 と古代に言葉を返した。 思わず、古代が、 古代:「教官!」 と赤みが差し始めた顔をさらに赤くして答えると、 榎本:「まあ、いいじゃないか古代」 と優しい表情でいいながら、さらに古代の盃に酒を注いだ… 榎本:「俺が思うに… 三者三様だな」 榎本:「山本 玲(アキラ)… あいつは、お前のためなら自分の命さえも投げ出しかねないアツいハートの持ち主だな」 榎本:「最初、甲板清掃作業をお前と一緒に手伝ってくれた時の印象では、戦闘機に乗るだけあって、悲壮感を秘めた感じの目をしていたからな…」 榎本:「もっとも、アイツがマーズノイドの瞳を有していることからしても、アツいイメージは伝わってくるけどな」 榎本:「うん!?」 「どうだ、古代…そう思わないか?」 榎本に質問されて古代が、 古代:「レイは優秀なパイロットです」 「ただ、無鉄砲さが…」 と言って、その先の言葉を濁すと、 榎本:「誰に似たんだかな…?」 と古代に向かって、再び笑顔を見せた。 榎本:「お前にとって、あいつは妹みたいな存在に近いかも知れないな…」 「本人は、お前のことを好きなんだろうが、お前の方はどうなんだ、古代!?」 榎本に言われて古代は、 古代:「自分でもよく分かりません」 とだけ答えた。 すると、榎本が古代に、 榎本:「いいか、古代…あいつは前線で常に死と隣り合わせ… いつ、敵の銃撃で命を落とすとも限らない」 榎本:「本当に、あいつのことが好きなら早めに想いを伝えろ」 「そうでなければ、早めに“そうでない”と伝えろ!」 榎本:「間違ってもどっちつかずで、あいつがお前の盾になろうなんて気をもたせちゃならない… 分かるな?」 古代が榎本に、 古代:「わかります…」 と答えた。 古代の反応を見ながら、 榎本:「森船務長…」 榎本:「どうやらお前にとっての運命の“オンナ”は彼女かな?」 そう言って、榎本は古代の顔を覗き込んだ… 言われた古代は、さらに顔を赤らめながら榎本に、 古代:「はい、俺もそう思います」 と、はっきりとした口調で答えた。 榎本:「おっ、いつものお前らしくなってきたじゃないか」 そういうと、榎本は自分の盃に酒を酌み、一気に飲み干した。 榎本:「船務長にははっきりと告白することが重要だぞ、古代」 榎本:「別の意味でどっちつかずでは、いかんな…」 古代が榎本に、 古代:「教官、どういう意味ですか?」 と尋ねた。 榎本:「俺が思うに、森船務長はともに歩むタイプだろう…」 榎本:「だから、自分が好きだと意思表示したからには相手にもはっきりと“そう”意思表示して欲しいと思っているはずだ」 古代が不思議そうに、 古代:「そうなんですか?」 と質問を返すと、榎本が、 榎本: 「はっきりと、“好きだ”と意思を伝えることが何より重要だぞ、古代」 と語気を強めて古代に伝えた。 古代は、その時何故か説得力のある榎本の言葉に抗えずに思わず、 古代:「はい、教官!」 と返答していた。 再び、杯を空にして榎本が古代に、 榎本:「問題はガミラスの別嬪さんだな…」 榎本:「名前はなんて言った、古代?」 榎本に質問されて古代が、 古代:「メルダ・ディッツ… 銀河方面第707航空団所属のパイロットです!」 と告げると、榎本が、 榎本:「あの手のタイプが本気になると手強いから注意せんといかんな…」 古代が榎本の説明の意味を理解しきれずに、榎本に質問した。 古代:「教官、どういう意味ですか?」 すると榎本が、 榎本:「森船務長とはバトルになりかねんということだ」 古代が驚いて、 古代:「え〜、そんな!」 と予期せぬ榎本の発言に大きな声を出すと、 榎本:「メルダは軍人としての誇りを重んじるタイプだけに、いつもお前とは戦友気分でいたいと思うかも知れん…」 榎本:「お前自身、メルダとは“君とは信じあえる”と言ったほどの人物なのだろう…!?」 榎本:「2人の関係は2人にしか(強いて言うならアキラを含めて3人にしか)分からない…」 榎本:「まして、森船務長には戦闘機乗り同士の会話は“宇宙語”の様なもの…」 榎本:「船務長の“ジェラス”に繋がらないように気をつけんといかんということだ…」 榎本:「メルダには自分には森 雪という意中の女性がいると言うことをはっきりと告げる覚悟が必要といったところだ…」 榎本:「わかるな、古代!?」 そう言って、榎本は遠い目をして一瞬窓の外の星々をそれとはなしに眺めた… かつて、自分が愛した彼の最愛の女性を想ったのだろうか… どれくらい2人で飲んだのだろう? 薄れゆく意識の中で古代は、雪の幻影を見た気がした・・・ 軽く頭が痛むのを覚えた古代が榎本に、虚ろな目をしながら、 古代:「教官、色々とありがとうございました」 古代:「頑張って、告白してみます!」 と言いながら、自室に戻ろうとしたその時、 目の前に見慣れた森 雪、その人の姿があった… 古代が飛び起きて、 古代:「雪!」 と叫んだのと同時に、榎本が森船務長に、 榎本:「船務長、スイマセン」 榎本:「古代のヤツが酒、弱いくせに飲み過ぎて寝ちまったもんで…」 榎本:「寝言で、船務長の名前を連呼していたもので… 迷惑かと思いつつも連絡した次第です」 榎本:「さあ、古代部屋に連れてってもらえ」 そう言って、榎本は森 雪に古代を託した。 雪が古代に歩み寄って、 森:「古代くん! 部屋に連れていくからちゃんと歩いてね」 そう言って、榎本に振りかえり、 森:「榎本掌帆長… ありがとうございました。 酔っぱらいを連れて帰ります」 と言って、古代を部屋の外に連れ出した。 去りゆく古代の背に向かって、榎本が、 榎本:「いいか古代… “はっきりと告げるんだぞ!”」 とエールを送った。。 | ||
翌日古代は、沖田艦長に願い出て、決戦間近のドメル艦隊の待つ宙域に「威力偵察」を行うことを具申した… 推定1万の敵、ドメル艦隊にただ1隻のヤマトでいかにして戦うか… 流石の沖田艦長も思案しかねていたところへの古代の意見具申であった。 しかも今回古代は自らコスモゼロα-01で、森船務長を同行すると言う… その真意を測りかねながらも、古代に任せてみようと決断した沖田は、 沖田:「死ぬなよ、古代!」 と一言告げて、古代の進言を許可した。 早速、古代が右舷カタパルトからコスモゼロα-01を発進すべく船務長の雪を連れて発進準備に取り掛かった所に、山本 レイが近づいて… 山本:「古代さん、行かれるんですね…」 山本:「サポートさせて下さい!」 と進言してきた。 古代は、そんなレイに、 古代:「レイ、これは秘匿任務だ…」 「隠密行動に戦闘機2機は多すぎる…」 古代:「必ず戻る… ここで待っていろ!」 いつになく語調の強い古代にレイならずとも雪自身もビックリした。 レイは、古代の瞳を“紅き瞳”で見つめながら、 レイ:「わかりました」 「ここで、待ちます!」 レイ:「必ず、還ってきて下さい」 「でないと…」 古代はレイの言葉を遮った。 古代:「俺を信じろ、レイ!」 次の瞬間コスモゼロは漆黒の宙に舞い上がった。 後部座席にシートインした雪が緊張しながら、簡易式コスモレーダーを注視している… 簡易式コスモレーダーは、次元潜航艦との遭遇を視野において、亜空間モードにも対応し得るバージョンアップがすでに真田副長のもとでなされていた… 古代が雪に、 古代:「いいか雪… いや、森君…」 すかさず雪が、古代に、 森:「雪でいいわ…」 と告げて、古代が、 古代:「雪、敵も同じことを考えているかも知れない…」 古代:「片時もレーダーから目を離さないでくれ…」 古代の緊張を雪が感じ取って、 森:「了解!」 と応じた。 ふたりの乗るコスモゼロα-01が距離にして丁度、ガミラス艦とヤマトとの中間点の宇宙座標に到達しようとしたところで、雪の見つめる次元コスモレーダーに反応があった… 森:「10時の方向に敵偵察機らしき陰影発見!」 その瞬間、SID-speaks(音声コンピューター)が、 SID-speaks:「ガミラスの戦闘機です!」 と報じた。と同時に、 SID-speaks:「過去のデータ分析の結果、敵戦闘機は“紅のツヴァルケ”… メルダ・ディッツ少尉の機体と判明」 と告げた。 ほぼ同時に、敵戦闘機から秘匿通信が送られてきた… 機内スピーカーモードに切り替えると、 メルダ:「こちら、メルダ・ディッツ…」 聞きなれた懐かしい声音が古代と雪の耳に響いた。 古代がすかさず、 古代:「メルダなのか…」 と聞き返すと、メルダがツヴァルケの水平翼を上下に揺らしながらそれに応えた。 メルダ:「久しぶり、古代…」 そういいつつも、恐らく威力偵察の任についているのだろう。 少し戸惑うメルダの様子が伺われた。 古代:「君も威力偵察の任についているのか…!?」 古代に質問されて、メルダが、 メルダ:「そういうあなたも…」 と応じると、 古代:「メルダ… どうしても戦わないとならないのか?」 と古代がメルダに質問した。 メルダが古代に、 「叶うことなら、あなたとは戦いたくない…」 と言葉を返し、古代がメルダに、 古代:「僕たちもだ…」 と応じた。 しばしの沈黙が流れたその時、雪が声を発した。 森:「メルダ、森 雪です」 「お願い、戦わない方法を考えて!」 雪の悲痛な叫びにメルダが応じて、 メルダ:「古代、威力偵察はここまでだ」 「ともに引き返そう…」 メルダ:「あなたたちがわれわれの艦隊を突破できたら、その時…希望が灯されるかも知れない…」 「わたしはあなたを信じている…」 と古代に告げた。 古代が、メルダに、 古代:「わかった、約束しよう…」 「必ず、突破して見せる」 そう言って、古代が先ほどメルダがして見せたように、コスモゼロの水平翼を上下に揺らして、 古代:「メルダ、君に渡すものがある!」 と言って、コスモゼロの機関砲より“蒼き箱”を撃ちだした… 自動制御装置が付帯されたそのプレゼントボックスはツヴァルケに近接したところで停止し、メルダによって回収された。 時刻が地球時間で丁度2200年3月14日00:00を回った瞬間であった…♪ 森:「まさか、古代くん… ホワイトデーのプレゼントを、メルダに!?」 と、雪が叫んだ瞬間、 メルダが古代に、 メルダ:「… 君の生涯のパートナーになれないってどういうこと… 古代!?」 と質問してきた。 古代がメルダに答えて、 古代:「ゴメン、メルダ… 僕は森 雪… この娘のことが好きなんだ!」 みるみる間に雪は自身の顔が赤らんでいくのを感じた… 雪が古代に、 森:「古代くん…!?」 「これってもしかして、プロポーズ…?」 古代は雪に応えて、 古代:「ああ、そうだよ、雪」 と少し照れながらに返答した。 メルダが古代に、 メルダ:「なるほど、そういうことか、古代?」 「でも、わたしもこの程度のことでは諦めない… わ!」 メルダ:「雪… どうやらあなたはわたしの恋敵ってことね!?」 メルダ:「次に会う時を楽しみにしている…♪」 「プレゼントのバタークッキーご馳走様!」 「とても美味しかったわ…♪」 メルダ:「それと、メッセージカードありがとう!」 メルダ:「それじゃ、先に行くわ!」 紅の機体を翻し、メルダは漆黒の宇宙空間に消えていった。 雪が古代に、 森:「ねぇ〜古代くん!?」 森:「わたしにはプレゼントないのかな〜?」 と囁くと、古代は一瞬操縦を「オートパイロット」モードに切り替えて、 クルッと雪に向きなおり、雪の唇に優しくキスした…♪ 古代:「これでいいでしょ!?」 古代の問いに雪はそっと頷いた。 しばらくして、雪が古代に、 森:「古代くん、メッセージカードにはなんて…?」 古代が雪に優しく微笑んで、 古代:「それは、“ナイショ!”だよ… 雪」 と言ってウィンクを1つして見せた。。 | ||
帰路に着いた古代と雪の帰りを待ちわびながら、コスモゼロα-02の機体にシートインして待っていたレイの視線の先に、“紅の箱”が視認された… 慌ててボックスを手にしたレイに古代のメッセージカードが開かれた… | ||
レイ、いや… アキラ… バレンタインチョコレートありがとう これは、僕からのお返しです… 気に入ってもらえるといいのだけど… それとアキラ… お前の窮地には必ず俺が助けに行くから… 信じて待てよ! 2200年3月14日ホワイトデーに心を込めて… 古代 ススム | ||
レイは古代のくれたバタークッキーを1つ口に含んで味わった…♪ “美味しい!” レイ:「まさか、古代さん… 自分で焼いたの?」 レイは思い出していた… ここ数日古代戦術長が平田主計長のもとに通い詰めていると言う噂話を… レイ:「ほんとだったんだ… チーフは頑として教えてくれなかったけど、アドバイスしていたのね…」 レイ:「だって、このクッキー… チーフが“1つ食べていいよ”って手渡してくれたバタークッキーの味と全く同じなんだもん」 古代の優しさをあらためて実感したレイの眼前にコスモゼロα−01の機影が目視された… レイは想った… レイ:「わたしのファーストラブ… まだ諦めるには早いかもね…♪」 3人の乙女のそれぞれの想いを乗せて、星の煌めきはさらに一層増したかのように思われた… | ||
(FIN) |
素敵バレンタインの次は、瑞喜の大好物・らぶらぶ! うふふ。やっぱ、古代くんと雪は鉄板(瑞喜内)でらぶらぶしていてほしい!! しかーし! まだまだ予断は許されない模様ですね(くす) (よろしければ、ブログもお読みくださいませ) Sドクターさま、ありがとうございます♪ FROM瑞喜 |